ミケランジェロ…
5年ほど前にバチカンを訪ね、サン・ピエトロ大聖堂の凛とした空間の中で、ミケランジェロ作「ピエタ」を見たときにその神々しさをただただ感じました。そんなこともあり、この逸話が心に響きました。
ある人がミケランジェロに尋ねた
彼はイエスの像をつくっていた
「あなたの創作は偉大ですね」
彼が言うには、
「私は何もしてやしません
イエスがこの大理石の塊に隠れていたのです
私はただ彼が解放されるのに手を貸したにすぎません
彼はすでにそこにいました
ただ少し余計な大理石が、必要以上のものがくっついていただけです
不必要なものがそこにありました
私はその不必要なものを切り落としました
私はただ彼を発見したにすぎません
創作したのではないのです」
この大理石の塊は捨てられていた
そこで彼はそれをもらっていった
そして、イエスの像の中でも最もすばらしいもののひとつがその塊からできたのだ
ミケランジェロは言った
「私がこの塊のそばを歩いていると、イエスが私を呼んだ
その塊の中に隠されて、彼は、
"ミケランジェロ、ここへ来て私を救い出しておくれ!"
と言ったのだ
そこで私はただ仕事をしたにすぎない」
一見、話はだいぶ違うように思えますが、私にはこの逸話が鍼灸治療にも通じるものがあるような気がしてなりません。
何か異物を外部から足したり内部から取り出したり、治療者側が「治す」ということではなく、患者さんの中に秘められた治癒力、余計な大理石を省いた生命力、そういったものを引き出すことが鍼灸師の目指すことに思えます。